江戸末期の門長屋
改修・解体 / 鳥取県倉吉市
2019年

施工業者:(有)石賀工務店
ご依頼内容・施工前の様子
- 倒壊のおそれがあり、危険を事前に回避したい
- 敷地全体の整備
- 主屋床下の白蟻被害を改善

右側が沈下し、道路側へ大きく傾いていました。
提案内容・施工風景
- 門扉を活かしながら改修する設計
- 折れていた主屋の柱をジャッキアップし、根継ぎ
- 敷地全体の整備
大庄屋を務められた御家柄に相応しい屋敷構えでした。この門長屋の建築時期は、江戸末期と推測できます。
当地では他に見られない規模の門長屋だった為、当初は保存を第一に考えました。しかし、下水工事によって礎石の間際が掘られており、これが原因となって礎石が沈下していました。さらに、木部の部材同士も離れており、ここが門長屋の倒壊につながる決定的な危険個所となって、倒壊寸前の状態でした。
この状況をふまえ、御施主さんには次の3つの案をご提案しました。「全てを修繕して健全化する案」「門長屋の規模を縮小して残す案」「門部分のみを残して活かす案」です。相談の結果、「門部分のみを残して活かす案」が選ばれました。門の接合部や腐朽状況などを確認し、取り外す範囲や、梁の架け方などを考えました。

中央の門部分を切り離して解体します。これによって隠れていた主屋が堂々と現れました。
施工完了・その後

設計士より
御施主さん宅の敷地には、主屋の他に多くの付属屋があり、そのすべての建物がしっかりと建てられていました。敷地全体を整備するにあたって、どの建物を残すか?解体後はどう住環境が変わるのか?各建物にはどんな特徴があるのか?など、情報を整理しながら取り組みました。解体した建物については入念に事前調査を行い、その結果を資料として保存しました。