小畑建築設計蔵

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昭和46年の家

改修 / 鳥取県倉吉市
2018年

昭和46年の家 完成外観

施工業者:(有)橋谷工務店

ご依頼内容・施工前の様子

    2016年の鳥取県中部地震による被災修理

  • ご近所づきあいを維持したい
  • 水廻りを使いやすくしたい
  • 冬を暖かく過ごしたい

鳥取中部地震の被害を受けました。二間続きの和室には耐震壁がありません。

施工前の様子 その1

屋根が複雑化し、雨漏りしていました。

提案内容・施工風景

    今回の依頼のあった御施主さんのお宅は、鳥取県中部地震の被害が建物全体に及んでいました。 そこでまず新築と改修の両方を視野にいれ、既存建物の調査を入念に行いました。 調査結果をふまえた話し合いの結果、御施主さんは先代の建てられた家に住まい続けることを選ばれ、 改修工事となりました。 打ち合わせと修正を慎重に重ね、1年の設計期間を経て、理想の形に辿り着きました。

  • 耐震診断・耐震設計・耐震改修
  • コンクリート基礎と木造軸組みの構造補強
  • 断熱改修
  • 和室の続き間の一室を、玄関へ改造
  • 応接間を車庫に改造し、家の中に車庫を取り込む形で、それに面して居室を配置
  • 構造に無理のあった増築部を撤去
  • 水廻りを一新し、加えてパントリーを確保
  • 建物全体の動線の整理
  • 御施主さんが管理されていた本家の古材を活用
施工風景の様子 その1

床・壁・天井を全て剥がし、基礎・柱・梁などを現します

  • 施工風景の様子 その1
  • 施工風景の様子 その2
  • 施工風景の様子 その3
  • 施工風景の様子 その4
  • 施工風景の様子 その5

施工完了・その後

施工完了の様子 その1

外観は、諸問題を解決したうえでシンプルに纏めました。

  • 施工完了の様子 その1
  • 施工完了の様子 その2
  • 施工完了の様子 その3
  • 施工完了の様子 その4

設計士より

早い段階でお互いの意見を言い合える関係が築けたため、多くの想いを図面化できました。 御施主さんのお宅への強い想いから、施工中にも修正を多く重ねていくことになりました。 打ち合わせで個別にお話をうかがった際には、ご夫婦が双方を気遣い、尊重されていたのが印象的でした。 また、施工前の調査にあたっては夜遅くまでの作業の許可をいただき、帰宅時に手料理を持たせていただいた日も多くあって、 たいへん感謝しております。

私は御施主さんのお宅に強い想いがあります。 御施主さんとの出会いは、実は今回のご依頼よりも以前に私が訪れた「一軒の空き家」の調査でのことでした。 広い敷地の中に、堂々とした主屋と崩れかけた土蔵があり、そこを管理されていたのが御施主さんでした。 この「一軒の空き家」とは御施主さんの本家で、当時御施主さんのお宅の近所にありました。 本家は1908年(明治41年)新築、御施主さん宅は1971年(昭和46年)新築です。 本家と御施主さんのお宅は、どちらも「奥さんを迎えるために先代によって建てられた」という点で共通していました。

2014年、本家は惜しまれながらも解体されることとなりました。 私は解体工事に先立って追加調査を行い、連日深夜まで及んだ調査は延べ100時間を超えました。 また、解体工事にも立ち会い、その際に明治期の仕口(木組み)・番付・落書きなどの調査と古材の保管も行っていました。 これが当時の私にできる精いっぱいの看取りでした。 その後、本家のあった場所は更地となり、現在は道路が整備されています。

解体工事から保管していた本家の古材を、今回の改修にふんだんに活かしました。 また、本家に使われていたデザインを、玄関建具の格子に取り入れています。

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