小畑建築設計蔵

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安政六年(1859年)の町屋

改修 / 鳥取県倉吉市
2018年

安政六年(1859年)の町屋 完成外観

施工業者:(有)池田住研

ご依頼内容・施工前の様子

  • 倉吉市打吹玉川伝統的建造物群保存地区内での補助事業を利用
  • 屋根瓦を葺き替え
  • 白蟻被害を改善
施工前の様子 その1

一棟の長屋を、二棟に区切っていた時期がありました。
間口が7.5間と広い町家です。

  • 施工前の様子 その1
  • 施工前の様子 その2
  • 施工前の様子 その3

提案内容・施工風景

    当初のご依頼内容は、「屋根瓦を葺き替え」「白蟻被害を改善」の二点という最小限のものでした。しかし入念な調査を行ったところ、主屋に使われている材は良材だったものの、複数箇所で深刻な腐朽が進んでいることが判明しました。その為、主屋全体を補強する必要がでてきました。
    また、敷地裏には付属建物が多く、屋根の複雑化が問題となっていました。こちらの改善にあたっては、価値づけを整理し、資金のかけ方もあわせた付属建物活用の長期計画をたてました。
    さらに、上下水道は前面道路から引込まれている一方で、風呂や台所などの水廻りは敷地裏側に配置されており、主屋の下を配管が横断していました。配管を短くするため、以前ミセ(店舗)として使用していた主屋前側の空間に水廻りを配置しました。
    今回は高齢のご夫婦からの相談でしたが、若い世代の方も一緒にお住まいだったので、各世代の意見を反映させるための打ち合わせを強くお願いしました。間取りは各世代が共に暮らす気配を感じられるように配慮し、約155年の歴史を経てきた建物の意匠や空間の力を活かしました。

  • 各世代の要望を擦り合わせる
  • コンクリート基礎と木造軸組みの構造補強
  • 水廻りを道路側に配置し、配管を単純化
  • 建物全体の動線の整理
  • 建物の持つ潜在的な空間の力を活かす
施工風景の様子 その1

床・壁などの仕上げ材を剥がし、柱・梁を現します

  • 施工風景の様子 その1
  • 施工風景の様子 その2
  • 施工風景の様子 その3
  • 施工風景の様子 その4

施工完了・その後

施工完了の様子 その1

調査によって外観を復元しました。中央部は現在では神社などでしか見られなくなった蔀戸です。蔀戸の内側に壁を設けています。左側は出格子です。この中に給湯器や室外機を隠しています。

  • 施工完了の様子 その1
  • 施工完了の様子 その2
  • 施工完了の様子 その3
  • 施工完了の様子 その4

設計士より

御施主さんのお宅は伝統的建造物群保存地区という、特殊な制約の多い地域にありました。また築年数が古く、中規模な改修歴が多かったため、調査には時間を要しました。さらに工事期間中に鳥取中部地震も経験し、長く携わることとなりました。
この地区の施工では、外観を建てられた当時の姿へと復元することが最優先されます。当初の痕跡を探しながら建物の歴史を紐解いていく作業は、大変でしたが楽しくもありました。
設計にあたっては各世代の要望を取り入れ、整理しつつ提案を行いましたが、工事中の痕跡調査の結果によって、それらが変更となることもあり、その都度相談させていただきました。ご依頼を通して、貴重な経験をさせていただきました。

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