小畑建築設計蔵

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昭和二年の家

改修 / 鳥取県湯梨浜町
2019年

昭和二年の家 完成外観

施工業者:㈲橋谷工務店

ご依頼内容・施工前の様子

  • 鳥取県中部地震の被災修理
  • 冬の寒さは軽減し、夏の風通しも確保する
  • 明るくしたい
  • 使い勝手の良い収納が欲しい
  • 強い思い入れのあるこの家で、より快適に住み続けられるように
施工前の様子 その1

鳥取中部地震の被害を受けました

  • 施工前の様子 その1
  • 施工前の様子 その2
  • 施工前の様子 その6

提案内容・施工風景

    お施主さんの要望は「この家の現代の生活環境にそぐわなくなっている要素を改善し、快適に住み続けられるようにしたい」でした。この要望を聞いて、自分はその背景に「この家と、先代に対する敬意」を感じずにはいられませんでした。
    この家は、先代によって大切に守られ愛情を注がれてきました。
    昭和2年10月12日、当地きっての腕利き大工浅津作蔵を中心とした大工集団によって建てられました。翌桧(あすなろ)・欅(けやき)・松(まつ)・栗(くり)・桜(さくら)・杉(すぎ)・椨(たぶ)・樫(かし)・栃(とち)の9種類の木材を適材適所に用い、ため息が出るほど精密な仕事が成されていました。
    設計では、お施主さんとの打ち合わせを重ね、その都度要望を取り入れた何通りかの案を提案し、色ペンで加筆修正を加えていきました。同時に、天井裏に潜って梁の架かり方を確認し、間取りと動線の改変が可能かも判断していきます。調査の結果、最大64mmの沈下・最大23mm/Mの傾きと、接合部の破断などの不具合を確認しました。
    お施主さんの要望を可能な限り叶えながら、調査で確認した不具合を解決していきます。
    1年半の設計期間を経て、理想の形にたどり着きました。

  • 敷地及び建物全体の動線の整理
  • 沈下と傾きの補正
  • 柱や梁は隠さず、建物と住人が経てきた時の気配を消さない
  • 断熱改修
  • 付属建物を撤去することで、雨仕舞の改善と採光通風の確保
  • 使い勝手の良い収納を確保
  • 昭和3年当時の貴重な畳を、表替えして再使用
施工風景の様子 その1

91年間の沈下と歪みを、ジャッキ21台で上げワイヤーで引っ張り補正します。急激に力を加えると木は裂けてしまいます。全体のバランスを見ながら少しずつ、上げ・引っ張りを繰り返します。

  • 施工風景の様子 その1
  • 施工風景の様子 その2
  • 施工風景の様子 その3
  • 施工風景の様子 その4
  • 施工風景の様子 その5
  • 施工風景の様子 その6
  • 施工風景の様子 その7

施工完了・その後

施工完了の様子 その1

座敷3部屋をL型に繋げ、ゆったりとしたLDKになりました。木製建具は部屋の意匠に合わせてデザインしました。且つ、建具が通る溝を4本に増やして、部屋をつなげるときには建具を1枚分の幅で纏められるよう改変しました。また、差鴨居上の土壁(写真右上)を抜くことで視線が抜けるようになり、空間を広く感じられるよう狙いました。

  • 施工完了の様子 その1
  • 施工完了の様子 その2
  • 施工完了の様子 その3

設計士より

想い入れの強さから、大胆な提案に躊躇いがありました。これをいかに打開できるかが自身のテーマでもありました。諸条件から叶わなかった工事もありましたが、その中で建物全体をバランス良く改善できました。
「50年先も健全な形で維持してもらいたい」そう想いながら、設計監理した現場でした。

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