昭和51年の家
改修 / 鳥取県湯梨浜町
2021年
施工業者:石賀工務店
ご依頼内容・施工前の様子
- 先祖が建てた家を、修理したい
- 毎年5月頃にシロアリが飛ぶ
- 依頼主のお父さんはこの家に対して強い思い入れを持っており、変わりすぎる事は避けたい
- 夏は暑く、冬は寒い環境を改善したい
浴室上部の梁は、シロアリの被害を大きく受けており、梁は芯が無くなるほど食い荒らされていました
提案内容・施工風景
- 耐震診断、耐震設計、耐震改修
- コンクリート基礎と木造軸組みの構造補強
- シロアリ被害箇所の健全化
- 断熱改修UA値0.40W/㎡K(天井:高性能グラスウール16kg210t/壁:高性能グラスウール16kg155t/床:A種押出法ポリスチレンフォーム保温板3種95t)→参考pdf(外部リンク)
- 家族の動線の整理
以前設計させていただいた「昭和46年の家」を見学していただき、工事のイメージを共有しました。「これなら家族が納得できる」とご安心いただいたうえで、設計に取り掛かりました。
前面道路復員確保(建築基準法42条)のため、擁壁を解体します
施工完了・その後
二間続きの和室のうち1室を残し、1室はLDKへ改変しました。間仕切りの襖は溝の形状を工夫し、全て縁側へ仕舞い込めるように工夫しました。LDK中央に造り付けの机を配し、柱を建てて2階を補強しています。
設計士より
ご依頼をいただいてから、暫く悩みました。「この改修工事を最も望まれるのは誰か?」自分が行き着いた答えは、「若い旦那さん」でした。
お父さんは、奥さんを迎え入れるために建てたこの家に強い思い入れを持っておられ、工事を避けてこられました。結果、快適とは言い難い環境に若夫婦は同居され、依頼主の奥さんが我慢をされているように感じられました。
この世代間の認識の差を解決し、両立することが一番の要望だと理解しました。個別に意見を窺い、お父さんとの関係も築きながら、調査と設計を進めました。
経年の不具合も多く見られ、問題は山積していました。建築基準法への適合、基礎のヒビ割れ、シロアリ被害など、補助事業を活用し一つずつ解決し着実に前へと進みます。
とりわけ、建築基準法への適合に関しては、苦労した部分でもありました。これが障壁となり、改修工事には向かわず、予算などの面から新築を提案される場合が多く見受けられます。
しかし、今回の場合はお父さんの意思を尊重するため、依頼主も新築ではなく改修工事を希望されていました。
想定外の問題を減らし、改修工事を円滑に進めるために、床下から天井に至るまで、入念な調査を行いました。
引き渡し後、ご家族から「ようやってくれたね」と声を掛けていただき、苦労が報われました。